北星社
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19世紀パリのサロン・コンサート
19世紀パリのサロン・コンサート
B5判・ソフトカバー296頁
[本体価格2800円+税]
ISBN978-4-939145-40-7
C0076
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第17回日本自費出版文化賞 特別賞 受賞
(富士フィルムグローバルグラフィックシステムズ株式会社賞)
19世紀前半期のパリで、輝くシャンデリアの下、美貌と知性に輝く上流社会の女性たちによって一大音楽サロン文化が花開いた。
その音楽のある社交空間が、才能ある青年音楽家たちを育み、成功へと導いた。華々しいサロン・コンサートめぐりの旅をお楽しみください。

◆200年前のパリに開花した、王政復古・七月王政時代の両宮廷を中心とする一大音楽サロン文化圏。主催者は美貌と知性に輝く上流社会の女性たち。

◆輝くシャンデリアの下、客人には『レ・ミゼラブル』のユゴー、『谷間の百合』のバルザック、ミュッセ、ヴィニー、ドラクロワなど、ロマン主義時代のスターたちが時をこえて蘇る。

◆奏でられるのは、サロンの王者リストの華麗な「ピアノ・ファンタジー」、祖国を想うショパンの「マズルカ」など。メルラン伯爵夫人のサロンに登場するのは、ロッシーニ率いるイタリア座の人気歌手たちだ。ベートーヴェンの弦楽四重奏が聴きたければドカーズ首相のサロンへどうぞ。主催者の貴婦人方も負けてはいない。今宵シューベルトのリートを歌うのは、コジマ・ワーグナーの母、ダグー伯爵夫人。

◆才能ある青年音楽家たちを育み、成功へと導いた母体としての「サロン」、本書はこれら上質の「音楽サロン」にスポット・ライトを当てた19世紀前半期フランスの音楽文化を扱った研究書である。

◆豊富な図像により、読者は「19世紀パリのサロン・コンサートめぐりの旅」をきっと楽しめることだろう。 

書 評

貴族や富裕層の邸宅などで開催され、音楽文化の一翼を担ったサロン。本書は、19世紀前半のパリを彩ったサロン・コンサートを当時の雑誌『ルヴュ・エ・ガゼット・ミュジカル・ドゥ・パリ』の関連記述を拾うことでその実態を解き明かそうとした労作。著者は、主催者の私邸で特定の客人に無料で供される演奏会を「サロン・コンサート」と定義。貴族、上流市民、音楽家、楽譜出版社、楽器商など種々のタイプを調査しまとめている。大阪大学に提出された学位論文を軸にした著作だが、読者に語りかけるような文体やユーモラスな比喩などが織り交ぜられ、一般向け書籍としての体裁にも配慮されている。サロン・コンサートの中には慈善演奏会も存在し、ロッシーニが曲目として大人気だったという記述も興味深いが、パリ音楽院教授を務めたピアニストのピエール=ジョゼフ=ギョーム・ツィンマーマン主催コンサートの模様がおもしろかった。彼の弟子にはアルカン、フランク、マルモンテル(ドビュッシーのピアノの師)らがいるが、ツィンマーマンのサロンは若手音楽家のデビュー、オーディションの場として機能したという。さらにパリで大成功したドイツの楽譜出版社シュレジンガー主催のコンサートでは、「ビジネスの関係がベース」にあり、作曲家たちとの良好な関係が垣間見えるという。具体的な一次資料が多いとはいえない研究領域だが、当時は、20世紀前半のポリニャック大公妃のサロンのように、新作委嘱をしたり、初演のための財政の援助などをしていたのだろうか。また楽譜商や楽器商主催の場合には、コンサート自体は無料にしても、何か金銭の動くビジネス上のやりとりがあったのかどうかなどが気になるところ。そのあたりの記述はあまり見られなかったが、ぜひさらなる新しい成果を期待したい。

(伊藤制子「若手デビューや楽譜出版ビジネスの場でもあったサロンを探る」『音楽の友』(2014年1月号/新刊書評BOOKS、pp.18、音楽之友社)

著者略歴

著者福田 公子
兵庫県西宮市生まれ。
阪大文学部仏文科修士
フランス領事館勤務等を経てソルボンヌに留学
大阪音大音楽学修士
阪大文学部美学科にて研究に従事
2009年同大学文学博士