北星社
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〈序文より抜粋〉
今、私たちは、この画家の残した気負いのない素朴な絵を眺めながら、かつてほとんどの日本人が過ごしてきたはずの日々を想うことができる。それらは、わずか数十年前まで、おそらく日本中で見られた人々の営みであり風景であったはずだが、既に目にすることは叶わなくなってしまった。伯霊の視線は、常に自身が生まれ育った小さな生活と、いとおしくも消えてゆく宿命を背負った自然へと向けられ続けたが、それは昭和の、特に戦後という時代の激変する社会にあって、希少な態度であったといえるだろう。
元、姫路市立美術館・兵庫県立美術館
学芸員 岸野裕人

9月24日(日) 10:00〜17:00
  法性寺
  兵庫県姫路市飾磨区亀山31
  TEL:079-235-0796

10月19日(木)〜10月25日(水)
  「田園讃歌」
  兵庫県民アートギャラリー特別展示室
  兵庫県神戸市中央区下山手通4丁目16-3
  TEL:078-321-2131

12月1日(金)〜12月4日(月)
  ギャラリー百家
  兵庫県たつの市揖西町南山687
  TEL:0791-66-1558

※展示予定は変更になる場合がございますので、ご確認の上お出かけください。

森崎伯霊略歴
1899

1929
1941

1942
1943
 
1946
1947
1953
1967
1975
1977
1978
1982
1990
1992

兵庫県飾磨郡下中島村
(現・姫路市飾磨区中島)に生まれる
俳壇「シラサギ」の会員となる
日本南画院展入選
第1回大阪市展入選
大東南宗院展入選
大東亜戦争美術展入選
再興日本美術院展初入選、以降入選多数
第1回姫路市展市長賞
兵庫県公募総合美術展特選
日本美術院小品展奨励賞
日本美術院特待
姫路地方文化団体連合協議会文化賞
兵庫県半ドンの会文化賞
姫路市文化振興財団第1回芸術文化大賞
兵庫県文化賞
神戸新聞平和賞
死去

 

書 評

2006年(平成18年)9月17日(日)神戸新聞 「ひょうご選書」より

「森崎伯霊画集 田園讃歌」
田園耕し描いた四季

 手にとって奇麗な画集だと思った。黒一色の外箱に小さな窓があけられ、表紙に使われた絵の一部がのぞいている。緑の田んぼの あぜを黒い牛をきながら歩く少年の真剣な顔がほほえましい。
  森崎伯霊は、一八九九(明治三十二)年生まれの姫路の人だが、一生のほとんどを生まれた土地で田畑を耕しながら田園風景を描いて暮らした。この画家の生き様は、画集の扉に紹介された一枚の写真を見れば想像がつく。初冬の蓮田はすだに向い、枯れ草の中で無心にスケッチをする姿を背後から点景でとらえた写真は、この画家が俗に囚(とら)われることなくわが道を歩んだことを伝えている。
  この画集には画家の残した俳句や雑記などの資料、家族の飾らない思い出話なども収録され、他の画集には見られないさわやかさが漂っている。編集にも細やかな気配りが感じられ、作品は画家の代表作から始まり、その後は四季を追う形がとられている。ページをめくるうちにこの画家の世界に引き込まれる人は多いだろう。
たぶん森崎伯霊という画家の絵は、き火の炎や流れる水に似ている。眺めるうちに時を忘れ、見るものは知らぬ間に自らの記憶と向きあうことになる。

元兵庫県立美術館学芸員・岸野裕人