北星社
〒668-0061 兵庫県豊岡市上佐野1620
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うめさんからの贈り物
「今日は私の誕生日」


四六判272頁
[本体価格1600円+税]
ISBN978-4-939145-10-0 C0095

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伝えたい うめさんの生きた時代を そして生まれた人形を!
2007年3月、満百歳を迎えた渡辺うめ氏は、農業が機械化される昭和30年代までの農村をリアリズムに徹して表現する人形作家である。すべての人形は、その時代の農民の姿を「忘れてはすまない」という思いで作られてきた。

氏が本格的に創作活動をはじめたのは75歳、全国区で知られるようになったのは89歳。全国各地で開かれる展覧会はいつも、会場の入場者数記録を塗り替えている。

この本は、当時83歳のうめさん≠ノ出会ってから17年間共に歩んできた著者ならではの、初の渡辺うめ論である。

有形・無形の贈り物を通して浮かび上がる真の渡辺うめ像は、人形を見たことのない人には「実物が見たい」、見たことがある人にも、「もう一度人形に会いたい」と思わせるだろう。

カラー口絵(未発表作品ほか)
序にかえて
[第一章]うめさんと出会って
うめさんとの出会い/うめさんを訪ねて/忘れてはすまない/友田さんのこと/うめさんとシアトルへ/「渡辺うめ人形友の会」の誕生/「但馬の祭典」とうめさん/うめさんと『暮しの手帖』/うめさんの東京物語/うめさんの決意
[第二章]うめさんのリアリズム
残したい心/スキー人形/人形語り/うめさんは名プロデューサー/肥桶/牛/唐箕/人形の意味
[第三章]うめさんからの贈り物
意外な贈り物/西田博義さんの肥持ち人形/渡辺うめ全作品リスト/本が作用したこと/うめさんの心/うめさんからの贈り物
[第四章]思いつくまま
武一さんのこと/うめさんのこと/うめさんのライバル/うめさん語り
渡辺うめの作品が見られる場所
渡辺うめ人形全作品リスト

書 評

2008年(平成20年)3月2日(日)神戸新聞 「ひょうご選書」より

人形の息遣い伝える
日本人の原郷喚起

 
 農民人形の渡辺うめさんを知る人は多い。夫君の実家のある但馬に疎開して、村の人々の暮らしに溶けこみ、農民のひたむきに働き生きる姿を、その魂の発露と結晶のような迫真の人形に表現した人だからである。

 その作品は、現代の日本人が忘れ失いかけていた自分たちの生活の原郷を思い起こさせ、そこに立ち戻らせる力を持って、つよく訴えかけてくる。そして、県内各地での展示と、テレビや作品集によって全国的にも知られてきた。

 そんな人形の制作に託された高齢のうめさんの願いを実らせるため、地元但馬の人々とともに、遠く播磨の地から労を惜しまず献身したのが、この本の著者である。

 筆者は、うめさんの生活と心にぴったり寄り添い、うめさんの作品の息づかいや胸の鼓動まで感じ取らせてくれる。それは、「人形作りと一緒にうめさんの言葉も残したい」との思いから、含蓄と感銘に満ちたうめさんの言葉を、口調そのままに書きとめ伝えているからである。吉田ふみゑの文章でありながら、うめさんの語りに聴き入るような感動を覚えるのだ。

 小作制度が残り、厳しい自然風土の但馬の村々で懸命に働いた人々を、「百姓は真剣なのだ」と思い、その姿を残したいと念じたのが、うめさんの農民人形の本質と意義であるという。それを多くの項目に分け、写真を入れ、支援者たちを登場させ、人と作品への深い理解と愛と感動の書にまとめあげている。詳しい作品年譜や履歴の記載も貴重である。また、中央の「暮しの手帖社」や「講談社」に先駆けて、数冊の作品集を出してきた地元の北星社が、渡辺うめの人と作品の理解に欠かせない本書を出版したことも特記に価する。

高橋夏男・詩人


読者カードより
M(兵庫)

写真集『あぜみちの詩 第四集』をプレゼントした人をはじめ、いろんな人に農民人形展(書写の里美術工芸館2010年4〜5月)への入場を誘い続けていたある日、作者・渡辺うめさんのことを詳しく尋ねられました。詳しく知らず勝手に応援している私が話すより、この本を読んでもらうほうがいいと思い、貸したりしました。展覧会に行けなかった人が11月に但馬で又あるということをどこかで調べてきて尼崎から但馬まで行くと言うので、この本を差し上げるつもりです。絶版せず、いつまでも入手できる本であってほしいと思います。